敬語ではない敬語

 これも突然思い出した昔聞いた話である。身内の飲み会で、実際に醤油を取って欲しい時に話したらメチャ受けた気がしたので記憶に残っていた。

 確か、金田一春彦先生がTVで話されたことだと記憶している。
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 会食の席で醤油が手の届く所に無く目上の方の前にある状況で、醤油を取って欲しい時に何と言うべきかという敬語の問題である。
 もちろん答えは、「そのお醤油、取って頂けますでしょうか?」の類では無い。

 答えは「それ、醤油でしょうか?」だそうだ。
 よっぽど感の悪い人で無い限り、醤油を取って欲しいということを察してくれて目的を達せる訳だ。使役しているのでは無い点がポイントだろう。


 ただ、これは"敬語"と言えるのだろうか?。字面だけでは明らかに敬語とは言えない気がする。

 これは、敬語を使わないにも関わらす嫌な気持ちを起こさせない言い方が存在する、すなわち敬語を使うのが必然ではないということであり、聞いた人がどのように感じるのかが最重要であるいうことだろう。

 このことは敬語を考える前に知っておくべきことのような気がする。


 同じような状態で、日本語圏以外の方がどう言うべきなのか訊いてみたいが、残念ながらその機会はまだ無い。